バジル569

パセリの両親は、パセリを溺愛している。


私はパセリのことを呼び捨てで呼んでいるのに、パセリの両親は未だに「くん」「ちゃん」付け。「くん」はともかく、「ちゃん」はサブイんじゃないかといつも思うのだが、母の愛は海より深し。

そんな義父は、（かつては）とっても小まめな人で、パセリが小さい頃に言ったこととかを「パセリ語録」としてメモ帳にまとめていたらしい。折に触れ、その語録を聞かせてくれるのだが、もうすぐ結婚8年になるので、何度も同じ話を聞かされていることになる。パセリも「また〜？」とか言いながら、一度たりとも「もういいよ」とか義父を止める気配もないので、私はもう耳タコ状態。

ま、それもまた、父の愛は空よりも広し。
何せ「パセリくんは、小さい頃から頭が良くて、運動神経も良くて、美男で…」とまるで非の打ち所のないようなことを言うもんだから、ついつい「そんなにたいしたことないで」と口を滑らせてしまいそうになる。鬼嫁である。

でも子どもを生んだら、子どもの一挙手一投足、一語一句を記録しておきたいという気持ちは分かるようになった。かと言って、「バジルは頭が良くて運動神経も良くて可愛くて〜」なんて（心の中では思っていても）手放しに口に出して言えない。子育て真っ最中だからかもしれないけど。


こないだ梅田に出かけた時、大阪市営の駐車場（桜橋付近の）に車を停めようとウロウロしていたが、駐車場のおっちゃんの誘導がものすごく中途半端で、どこに行けばいいのか分からなくて立ち往生してしまった。

私が冗談で

「ちょっとバジル、『オッサン、何やっとんじゃ〜！しっかりせんかい！』って言うてきて」

とバジルに言うと、ものすごーく困った顔で

「うーん。でもなママ、ボクそんな言葉遣いしたことないから、そんなこと言われへん。ママも、そんな言葉遣いしたらアカンやろ」

と叱られてしまった。

6歳児に真顔で説教されてうなだれる三十路女。
どっちが教育されているのか（恥